先日、予防運動に関する講座を受講しました。生活習慣病をターゲットとして、疾患にならないための予防運動の確立を目指すプログラムです。その概要としては、身体を正しく理解し、そのパフォーマンスを引き出せるようになると疾患を防ぐ効果が期待できる、というもの。ピラティスに通ずるテーマでしたから理解が深まり有意義な時間を過ごせました。その内容を少しだけご紹介します。
生まれながらに持つ先天的素因や、生活習慣による後天的素因。まず、それらを骨格の特性と捉えることが大切です。特に習慣(後天的素因)は成長期に取り組んだスポーツ、仕事中の姿勢、日常動作の癖(片足重心で立つ、足を組む、鞄の持ち方、歩行動作)などが影響し、面白いほどに身体は一人ひとり違うものになります。改善できることはあれど現代人として仕方のない要素も多いことでしょう。
だからこそ、マンツーマンのパーソナルセッションでは一律なエクササイズを提供するのではなく、それぞれの骨格に合わせてプログラムする必要があります。静止した状態のみならず動作中の姿勢を確認し、全身の関連性を把握することで骨格の特性を正しく理解できます。
エクササイズに望むにあたり重要なことは基本姿勢です。最も効率的に負担なく立てる位置が関節のニュートラルポジション。足裏のアーチが引き上がり、首の前後に皺なく緊張していない状態で、頭部は上へ伸びている。そして骨盤が起き、脊柱に自然な湾曲が生まれている状態をつくります。何の変哲もない姿勢のようですが、意識してやってみると深層部の筋肉に力が入り、まるで一本の芯が身体に通ったような安定感がでることに気づきます。
日頃行っている運動は可動している箇所のみを意識していると思いますが、前述したように身体には関係性がある為、安定した体幹があってこそ腕や足の動きがスムーズに行えるのです。反対に言えば、体幹なくして行われた運動は一箇所に負担をかけて怪我のリスクを高めるだけでなく、力も出しきれていないことになります。ピラティスを体験した方ならこの意味がよく分かるはず。筋肉隆々で健康的な身体の持ち主でも、一見簡単そうなエクササイズを力任せに行っては上手くいかないように、身体機能を発揮するには身体をよく理解する必要があるのです。
人が持っている本来の運動能力を引き出すことの大切さをスタジオでのセッションを通じて皆様に伝えていきたいと思います。