

朝4時前、旅先へ向かうフェリーの船内。間もなく到着を告げるアナウンスが、早朝の静けさにちょうどいい穏やかな口調で流れます。
私は少し早めに目を覚まし、ひと足早く身支度を済ませていたので外へ出ました。海を眺めると、空は少しずつ明るさを増し、水平線から太陽が姿を現そうとしています。
今年も北海道に来ました。



朝日で気温が上がり始めたことで小樽は朝靄と静寂に包まれています。普段は観光客で賑わう港町の非現実的な様子に旅の始まりを感じます。
小樽を後にし、ニセコ、洞爺湖を経由して支笏湖畔へ。ここを訪れるのは2年ぶりです。前回は雨に煙る湖と、湿り気を帯びた木々の緑が印象に残っています。
今回は曇り空。それでも湖畔の空気はひんやりとしていて、念のため持参したダウンジャケットとダウンパンツがちょうどよいくらいの気温でした。
街とは異なる空気に触れ、深い自然の中へ足を踏み入れたことをあらためて感じます。


札幌の東にあるモエレ沼公園。工場地帯だったこの場所に、イサム・ノグチが遺作となる作品を残したことで知られています。
1時間ほどの滞在を予定していましたが、広大な園内は2時間でも足りないほど。芝生、池、川、花々、木々。それぞれが独立した要素ではなく、一つの風景として構成されています。そして、山へ登ると、その全体像が初めて視界に収まり、公園そのものがひとつの作品であることを実感するのです。
地上を歩いているだけでは気づかなかった構成の美しさが、眼下に広がる景色とともに静かに伝わってきました。







ここは苫前。海沿いのキャンプ地で一夜を過ごしました。
この地域には大型の風力発電施設が立ち並び、風の強い地勢を活かしたエネルギー利用が行われています。周囲には視界を遮る高い建物や木々がほとんどなく、どこまでも続く空と海が広がります。
日が傾くにつれ、水平線はゆっくりと茜色に染まり、穏やかな時間が流れていきました。


そのまま海沿いを南下し、小樽へ戻ります。帰りのフェリーも旅の楽しみのひとつでしたが、心地よい疲れが一気に押し寄せたのでしょう。気がつけば、そのほとんどを眠って過ごしていました。
支笏湖のように何度も足を運んでいる場所もあれば、旅の途中で新たに訪れてみたい場所にも出会いました。旅を重ねるほどに、次の目的地が増えていくのも北海道の魅力です。
また来年の今頃も、この船に乗って北海道へ向かっている。そんな気がしています。












